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もはやひねくれた目線からしか作品を見れなくなった男が個人の見解で過去の作品を評価していくブログ。※基本的にネタバレを含みます

批判するやつの批判するやつを許す

普段インターネットを使って調べ物をしているときなどに、調べ物の対象について批判めいた書き込みのやり取りを見かけることはありませんか?

例えばどこどこのお店が美味しかった、という書き込みに対して、「あの店が美味しいだなんて、あっちのお店のほうがもっと美味しいわよ」的な返しをしている人。

あの歌のあの歌詞が好きなんだ、という感想に対して、「歌詞は良いけどメロディが微妙だし」的な返しをしている人。

今回はこの「批判」という行為を掘り下げて、批判レベル別でランク分けをしつつ僕なりの見解を述べていきたいと思います。

※前提として、今回取り上げるテーマはあくまでも「ネット上での批判行為について」です。対人での批判行為にも触れますが、正面切って直接批判してくる人に対するネガティブな表現は含まれませんのでご了承ください。

 対人での批判行為のリスク

先ほどもお伝えした通り、今回は「ネット上での批判行為について」がテーマとなりますが、その本題に入る前に、まずは対人での批判行為について僕なりの見解をお伝えしておきます。

そもそも対人で批判する人は、ある種のリスクを伴っています。
例えばその批判行為が的外れだった場合。

例:
「Aのお店美味しいよね、良いお肉を使ってるだけのことはあるよね!」
「Aのお店のどこがいいの?Bのお店のお肉のほうがもっと美味しいし!」

上記のような会話があったとします。
これが仮にBのお店のお肉のほうが、Aのお店のお肉よりも実際の価値が格段に低かった場合、Bのお店を推していた人は事実が明らかになればすごい恥ずかしいですよね。
そう、対人での批判は、批判スキルが中途半端であった場合、自分に跳ね返ってくるというリスクが生じます。

もっと言うとテレビタレント、最近ではYoutyberなどもそうでしょうか、不特定多数の他人に顔をさらし、そこで批判などのコメントをする人は、上記一例の比ではないレベルのリスクを背負っています。

彼らの発信した批判の内容が的外れだったり稚拙だったりすると、下手すれば一瞬で仕事がなくなるような、今後の人生を左右するような事態に陥る可能性があります。

そんな彼らは、リスクを背負って商売をする、れっきとした「大人」たちです。
まずはここの認識だけお伝えしておきます。

とはいえ友達同士なんかでもすぐに批判してくる割に批判スキルが低い人は、「大人」とは言えないかもしれないですね。
そんな人のことまで詳細に述べていくとキリがないので、話を本題に戻します。

 

批判する人の「6種類・4段階」のランク分け

次に、批判する人を、批判の段階ごとにランク分けしていきます。
以下の基準で僕なりに「6種類・4段階」にランク分けを行いました。
後でちゃんと解説をさせていただきますので、ざっくり目を通していただければと思います。

①批評の対象    ⇒ ランク対象外
②対象を批評する人(匿名性無しの場合) ⇒ 「大人」
③対象を批判する人(匿名性有りの場合) ⇒ 「学生」
④対象を批評する人を批判する人(匿名性有りの場合) ⇒ 「こども」
⑤対象を批評する人を批判する人を批判する人(匿名性有りの場合) ⇒ 「幼児」
⑥対象に対し罵詈雑言を浴びせる人(匿名性有りの場合) ⇒ 「幼児」

上記が批判する人の6種類・4段階のランクとなります。

非常に分かりにくいですね。
さらに「批評」と「批判」をあえて使い分けているところがなおさら分かりにくい気がします。が、決してワザとではなくて、こういう理屈っぽい表現をしてしまう性格なのでご容赦ください。
今からちゃんと解説させていただきますので。

 

映画「君の名は。」で批判ランクを解説

題材は何でもよかったのですが、パッと思いついた作品を例に解説させていただきたいと思います。

2016年に公開された新海誠監督作のアニメ映画「君の名は。」ですが、日本映画史上に残る大ヒットを記録しました。
中高生を中心に共感を集め、作品に対する評価も絶賛の嵐で、もはや社会現象と言っても過言ではありませんでした。

そんな中、当然姿を現すのが「アンチ派」、いわゆる批判派です。
この批判の種類を、先ほどお伝えした批判ランク別で解説してみます。

①批評の対象 ⇒ ランク対象外
これは、このトピックの例で言う映画「君の名は。」を指します。
もともとの批評の題材となる大元の素材なので、当然ランクは「対象外」です。

②対象を批評する人(匿名性無しの場合) ⇒ 「大人」
ようは映画「君の名は。」について、素顔をさらし、リスクを覚悟のうえで批評を行うテレビタレントやネット配信者ですね。
前述のとおり彼らはそれを仕事の一環としており、無難なことを言っても相手にされない、またはコメンテーターとしての価値が上がらない、けなしたらたたかれるかもしれない、褒めてもたたかれるかもしれない、といった、リスクをとる「大人」たちです。
ただ、ネット配信者でも視聴者数が極端に低い人はちょっと線引きが難しいですが。
まぁでも素顔をさらしてたらギリギリ「大人」の部類だと思います。

③対象を批判する人(匿名性有りの場合) ⇒ 「学生」
ここからですよね。今回のテーマの大筋に入るのは。
これはいわゆる、映画「君の名は。」を匿名で批判する人ですね。
そう、あくまでも「批判」です。
あとこれも線引きが難しいのですが「批判」にもいろいろあって、例えば批判スキルが高い、ようは的を得ている、本当に感想を述べている、中立を保ちつつも個人的な評価として厳しく批評をしている、このような人たちは匿名での批判でも「大人」だと考えます。
批判が「学生」となるのは、具体的根拠もなく、ただただ批判している人、または一見具体的な根拠を並べているように思えるが、単に理屈っぽいだけで的を得ていない思慮の浅い人、などです。
理屈っぽいだけの浅い人って、例えば
「本プロジェクトにて発生したタスクは、上長に最終確認を行ったうえで慎重に検討したいと判断したため、ペンディングとしておりました。」
みたいなこと言う人。うん、こういう人おるおる。
これ素直な人は、「その仕事忘れてたので遅れてます、すみません」てちゃんと言えるんですよね。
あ、ちなみに「学生」というランク付けですが、本当の「学生さん」の事を言ってるわけではありませんからね。
年齢的に大人になっているのに学生気分でいてる人たちを指しているだけです。
ただもちろん、今学生でもそのまま年齢だけ大人になればやはり「学生」ランク、の仲間入りにはなりますが。

④対象を批評する人を批判する人(匿名性有りの場合) ⇒ 「こども」
ここから先は、③の人よりもさらに低いランクになります。
ようは、映画「君の名は。」を批判した人に対して批判する人。
例えば
君の名は。見たけど超おもんない。あんなん中高生にしかウケなくない?なんなら体入れ替わってる間にスマホのカレンダー見たら時間がずれてることくらいすぐわかるやろ」
のような批判に対し、
「そんなこと言わないでください。あなたはあの作品の素晴らしさがわからない悲しい人です。あなたみたいな理解の足りない人に、あの作品をけなす資格はありません。」
みたいな返しをする人。
これ、間違いなく「子供」レベルですよね。
上記例のように、こういうこと言う人ってそもそも反論の内容に具体的解説もなんにもないパターンが多い。
これけっこうよく見かけるよなぁ・・・。

⑤対象を批評する人を批判する人を批判する人(匿名性有りの場合) ⇒ 「幼児」
いよいよ最低ランクです。
例えば上記④の「そんなこと言わないでください~」に対し第三者が、
「出たwお前みたいなやつが一番理解が足りないんじゃない?出直してこい」みたいな返しをする人。
ここまで来ると頭が悪すぎてそろそろ哀れんでしまいますが。。。

⑥対象に対し罵詈雑言を浴びせる人(匿名性有りの場合) ⇒ 「幼児」
これも問答無用で最低ランクです。
少し前、スポーツ選手の奥さんがブスだとネットの掲示板に書き込みをした人が、見事に個人を特定されて損害賠償金の支払いを命じられるというニュースがありましたね。
IPアドレスから個人情報を割り出したことで書き込みをした人が見つかったとの事ですが、結局個人を特定されたとたん「こんなことになるとは」みたいにおとなしくなる。
いやいや、登場人物の中で悪いのお前ひとりやん、て話です。
君の名は。」で例えると、
君の名は。見たけど最悪。✖✖だわ。あんなん見るやつアタマ✖✖なんじゃない?」
みたいな、何の分析も無くただただ罵詈雑言を吐いてる人。
彼らの辞書には「知性」という文字が無い、どころか、辞書持ってないんでしょうね。
まぁ仮に分析があっても暴言が加わればそれはやっぱり最低ランクです。
個人特定されたら顔面蒼白になっておとなしくなる人種ですね。

ちょっとこのランク分けの解説、長かったですね。
ここまで読んでまだ続きを読もうとしてる人って、このテーマに賛同してくれているか、僕に対し強めの憎しみを抱き始めている人、のどちらかでしょうか。
僕も匿名だから今のところ人の事言えないのかな。ムズイ。

 

批評するやつの批判するやつ

僕は、元となる素材について「批判する」までは、全然ありだと思っています。
中には先ほど例えたような学生ランクの批判もありますがそれもまだマシ。
(あ、もちろん暴言は論外ですよ。)

だって、彼らの発信する内容は少なくとも「元となる素材を実際に味わった感想」なわけで、仮に匿名であったとしても誰かの意見にいちゃもんつけてるわけではない、あくまでも自分がそれを体験したうえでの個人的な評価を述べている、ある意味まっとうな意見なんです。

だから「君の名は。見たけどくそつまんない。だって〇〇だし~略~」という批判があったとしても、それは一個人の意見なわけなんですよね。全然問題ない。
「あのラーメン屋おオススメされたから行ったけど、全然美味しくない。サービスも最低。二度と行かない」
「あの脱毛サロン、スタッフの対応最低。思い出しただけでムカツク」
これらもいわば「感想」の一つでありまっとうな意見です。まぁ映画の批評とはちょっとニュアンス違いますけども。

問題はこれに対して批判するやつです。

ネガティブな意見に反対意見を上塗りしてくるやつ、逆もそう、ポジティブな意見に対して反対意見を押し付けてくるやつももちろん対象です。
君の名は。最高!もう終始胸がキュンキュンして、3回も見た!」
「あんな映画どこがいいねん。3回見る暇があったら勉強しとけ!」
みたいな感じですね。

先ほどもお伝えした通り、「君の名は。最高!」と批評する人は、当たり前ですが全然良いです。
君の名は。最低!」という批判も全然良い。

そんな批評に対して批判してくるやつって、見てて気持ちの良いものではないですよね。
匿名だからなおさら。
こんな時決まって、「文句あるんならネットでじゃなく本人に直接言え!!」のフレーズが頭に浮かびませんか?

 

「文句あるなら直接言え!」はもう古い

そうなんです。
ネットが普及し、SNSが普及した現代では、もはや批判に対する批判なんて日常茶飯事で、「匿名でこそこそ言わずに顔さらして面と向かって言うて来い!どうせそんな根性もないんやろ!」って、匿名でこそこそ批判するやつらにはいまさら刺さらないんですよね。
それどころか、そういう人種ってそういう挑発めいた発言を受けても、「それは自分の事じゃないわ♪」みたいな感じでなぜかふわふわと器用にスルーできるんです。
そこで「何ぃ、そこまで言うなら実名で乗り込んだるわ!」みたいながっぷり四つの気性の人って、そもそも匿名でちくちく批判しない。

とはいえ、タレントさんみたいに素顔をさらして、不特定多数の他人の前で批評をする人って、ある意味被害を被っても仕方がないと思うんです。
だって、素顔をさらすことがなんぼの商売でご飯食べてるところもあるわけですから。

そうじゃなくて、我々のような常識ある普通の人間が、ネットやテレビなんかで批判に次ぐ批判関連の胸糞悪いニュースや書き込みを見たときに嫌悪を感じるこの状況、損だと思いません?
そんなん見なけりゃいい、とか、気にしなければいい、て言われるかもしれないけど、僕らだって例えば何かの商品を買おうか迷って下調べとかしたら、いやでも書き込みって目に入っちゃう時あるじゃないですか。

なんでこっちがわざわざそいつらに合わせて見ないようにしなきゃいけないんだ、気にしない気にしないと意識をしなければいけないんだ、て思いませんか?

 

4段階のランクに「7種類目」のカテゴリ

さて、批判行為について僕なりの見解に長々とお付き合いいただいたところで、そろそろ本当に僕が今回伝えたかったコトというのを綴っていきます。

先ほど批判行為の種類別にランク分けをしましたね。
「大人」「学生」「こども」「幼児」の順でした。
もう一度念押しで言いますが、「学生」とか「こども」とかっていう表現は、年齢的に大人であるにも関わらず中身が「学生」や「こども」という意味で、学生やこどもを非難しているわけではありません。
例えば現役の小学生と、年齢は大人なのにスペックが小学生のままの大人とどちらがヤバいか、比べていただくと言いたい事は伝わるかと思います。

そして、先ほど6種類・4段階のランクをお伝えしたほかにもう一つ、7種類目のカテゴリがあります。

それは、

⑦一般的な大人 ⇒ 「大人」

です。
そう、僕を含む、今この記事を読んでいただいている皆さんの事です。
ネット上の稚拙なやり取りを見たら嫌な気持ちになったり憤ったり、心に無駄な負担が生じる一般的な大人。
タレントでもなければネット配信者でもないごく普通の常識のある一般人。

これこそが
⑦一般的な大人 ⇒ 「大人」
です。

そんな大人な僕らは、どのようにして「学生」以下の人たちから嫌な思いをさせられずに済むのでしょうか。

次にその対策をお伝えします。

 

批判するやつの批判するやつを許す

この記事のタイトル通りなのですが、そう、「許す」んです。

泣き寝入りするわけでもあきらめるわけでもない、心から「許す」んです。

そんなこと簡単にできないのではとお考えの方、そんなことはありません。

先ほど7種類、4段階にランク分けを行いました。
あれがどういう意味をもったランク分けだったのか。
中身はとってもシンプルなのですが、

・「大人」から見るとそのほかのランクは全て年下である

という一点です。

大人である僕らは、本当に未熟な年下達を許すことはできないのでしょうか。
確かにうるさい、うっとおしいと感じる人はいるかもしれませんが、本当に許せないほど憎しみが沸き上がってくるものでしょうか。

僕らが毎日戦っているのは、戦うべき相手は、「学生」とか「こども」とか「幼児」ではなく「大人」です。
「大人」と真剣勝負をして、負けたり勝ったりを繰り返して人生に結果を残していくことができます。

でも「大人」でない人たちは、そのフィールドでいくらやりあおうが絶対に「大人」にはなれませんし、価値のある結果など残せるはずもありません。
そういう目で彼らを見ると、どんな気持ちになりますか?
むかつくというより、「かわいそう」「哀れ」もしくは、「相手にしない or 相手にする暇がない」というフレーズが浮かびませんか?

「許したもん勝ち」。これは「大人」の特権です。

「許す」という行為はすなわち、人間レベルで圧倒的に彼らを上回る存在であるということが確定する、という行為です。

「やり返す」とか、「一泡吹かせる」という感情は、ぜひ「大人」へ向けましょう。
それもスマートに、もちろん社会のルールに則って。
それはもちろんネット上の話ではなく、対人での話です。
でもそれって、すごくすごく難しいことですよね。

当たり前です。

ネットの書き込みにぐだぐだと批判するのはカンタン。
さらにその批判に対して目くじら立てて、ぐだぐだと批判を重ねるのもカンタン。
それらを僕ら「大人」が包括的に許してあげるのも実はカンタン。

難しいのは、目の前の友達、家族、職場の同僚、趣味の合う仲間、みんなと切磋琢磨して、自分を磨いていくことです。

ネット上で批判を繰り返す彼らを見て、同じ目線で苛立ちを感じるのはナンセンスです。
そんなレベルの高くない彼らのことは次々に許してあげて、明日からの自分の行動のみに目を向けていきましょう。

おわりに

ネット上で底辺でやりあっている人種は、ある意味その世界で人生が完結している幸せな人たちとも言えます。
そしておそらくその世界から抜け出すこともありません。

ですが、そんなリテラシーの低い彼らがいるからこそ、世の中の多くの企業は彼らを手玉に取ることができ、その結果経済が回っているという背景があるのも事実です。

結局世の中バランス良く成り立っていて、もしみんな常識人ばかりだったら新しい技術を創造することは難しくて、頭の良くない彼らがいるからそれを利用する頭の良い人もいる、この比率から生み出される時代の成り行きを、僕ら一般人は傍観できるという特等席に座っています。

せっかく良い席で試合が観れる、しかも頭の良い人たちがばれないようにこっそり頭の良くない彼らを巻き込んでいく勝ち試合が観れるのに、あえて負ける側に一緒に加わってダメージを受ける必要なんてありません。

彼らを許して、傍観して、そして僕らは明日からも自分のことにしっかり目を向けて、「大人」の世界で一生懸命勝ち負けを繰り返していく。

そんなスタンスで彼らを見てあげることが、僕らにとっての適正な距離感だといえるのではないでしょうか。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。