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もはやひねくれた目線からしか作品を見れなくなった男が個人の見解で過去の作品を評価していくブログ。※基本的にネタバレを含みます

映画【パージ:アナーキー】をひねくれ評価(評価点 5.2 / 10.0)◆サスペンス・ホラー

【洋画 / サスペンス・ホラー】パージ:アナーキー / THE PURGE:ANARCHY

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 作品情報

 

あらすじ

2023年アメリカ。

失業率5%以下、暴力ほぼ存在せず、貧困層の国民は毎年減少。それは「1年に一晩だけ殺人を含む全ての犯罪が合法となる」パージ(浄化)という法律が要因だった。

警察・消防・医療などの救急サービスは全て停止され、「怒り、憎しみ、恨み」の感情が全て解き放たれる。

国民たちは、パージ法をカタルシスをもたらしてくれるある種の行事だと考えていたが、実際は貧困層を排除するための歪んだ政策だった。

パージを利用し、息子の復讐を誓うレオ。

車が故障して逃げ惑う夫婦、シェーンとリズ。

なぜか謎の武装集団に狙われる母娘、エヴァとカリ。

年に一度、一晩限りの浄化が始まる。

 

作品補足

2013年に公開された「パージ」の続編。

 

パージ:アナーキー」のひねくれ評論

 

特に何も起こらなかった夜。

けっこう期待したのですが、単にパージの一晩をオールした人たちの話でした。

もし現実にパージ法がアメリカで制定されたと考えても、「そりゃ皆そうなるわな」と感じてしまうひねりの無いストーリー展開となっています。

とはいえ作品としての起伏は盛り込まれていますので、そこはご安心ください。

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 設定は◎。ただし設定=オチ。

そもそも貧困層を浄化することで世直ししようとする考え方を、法律にしちゃえという発想が奇抜で素敵です。

しかもパージ法のルールが、1年に一度、19時からの12時間、警察、医療、消防機関をストップさせることと、ぶっ飛んでいて雑だけど面白い。

使える武器のランク(?)も制限されていて、つじつま合わせもひとまずクリアされています。

だからこそ、その設定を使って存分にこちらの予想をぶち壊してほしかったんですが、その奇抜な設定そのものが作品のピークになっています。

一つだけでもいいので、何か大きなテーマに一貫した脚本が成されていれば際立ったストーリーになったのではと感じます。

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突っ込みどころのオンパレード

ひとまずネタバレを避けるために突っ込みどころの内容は後回しにしますが、とにかく多い。

特に上げ足を取るつもりは無くとも、えっ、と思うタイミングが頻発します。

映画ってたくさんのプロフェッショナル達が絡んで完成するはずなのに、誰か一人でも「ここ大丈夫なのかしら」と声を上げなかったんでしょうか。

 

まとめ

一つ、ご説明しなければならないことがあります。

僕は今回、「パージ:アナーキー」が、「パージ」の続編であることを知らずに鑑賞してしまっています。

もともと「パージ」を知らなくて、某レンタルショップでフォーカスされていた作品を何も考えず手に取りました。

僕はレビューを書くときに、公開時期とか監督とかの情報を少しだけ収集するわけですが、その時に初めて前作のことを知りました。

前作の存在を知らずに続編を観るヤツなんてどれだけいるのでしょうか。

けど観てしまったものはしょうがない。

ここは考え方を変えて、前作の情報を一切引き継がず「パージ:アナーキー」を一つの作品としたレビューととらえてもらえる良い機会、と片付けてしまうのはいかがでしょうか。

 

 

ネタバレ評論

↓↓ ここからネタバレを含みます ↓↓

 

これより先は、ネタバレを含んだ上でのひねくれ評論となります。

ネタバレNGの方は閲覧いただかないようお気を付けください。

 

 

 

 

 

↓↓ 以下ネタバレ評論 ↓↓

 ゆるすぎないか・・・?

作品情報を見る限りでは6度目のパージのようです。 

どんなことでも大体3回も経験すれば慣れてくるのも仕方ないと思いますが、参加者たちにとっては命がかかった恐怖の一晩なはずです。

にもかかわらず、パージ開始のギリギリまで皆は日常と変わらないテンションで過ごしています。

シェーンとリズにしても車のトラブルはまぁ仕方ないです。でも年に一度のパージの日に、わざわざ姉に会いに行く予定を立てる理由がわかりません。

あらかじめパージの開始日時は決められているわけだから、もしその日しか姉の予定が空いてなかったとしてもギリギリのタイミングを選ぶのはリスクが高すぎます。

国民にとってパージそのものが、なんてことの無い単なるイベント感覚なら分かりますが、5回のパージで実際に大勢の人が死んでるわけですから、作品としてもここはやっぱり「恐怖の一晩」と見るほうが自然だと感じます。

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レオに同情。計画性の無さがアダに。

まずレオの一人称で大まかな行動経過を振り返ってみます。

 

息子のニコラスを交通事故で亡くす。

裁判がうやむやになり、加害者であるウォーレンは無罪に。

パージ法を利用し、ウォーレンへの復讐を企てる。

パージ開始2週間前、ウォーレン宅のバリケードに細工をしておく。

パージ当日。開始直前にウォーレン宅へ車で移動を開始。

【パージ開始】

道中でエヴァ、カリ母娘、シェーン、リズ夫婦の4人を拾う。

車故障。

車を借りるためにターニャ宅を目指す。

ターニャ宅へ到着するも、妹のロレインがターニャを銃殺、皆で外へ逃げる。

待ち構えた敵グループに全員拉致される。

富豪の集うパーティー会場でサバゲー

会場を脱出し、車を奪ってエヴァ、カリ母娘と3人でウォーレン宅へ。

ウォーレン殺害を思い止まり、現場を出た直後ビッグ・ダディに撃たれる。

ウォーレン、エヴァ、カリの3人に助けてもらう。

【パージ終了】

病院へ。

 

レオの不運には正直同情してしまいますが、一番の問題は、なぜパージ開始直前までおとなしく家にいたのか、という点です。

殺る気満々で車を運転する事はまだ犯罪にはならないわけですから、律儀にパージ待ちをする必要はありません。

むしろ危険な思想を持つヤカラたちは、一応パージが始まるまで興奮を抑えている状態ですから、かえってパージ開始前って安全な気がします。

開始されちゃうと外にいることすら危険なわけですから。

なので、パージ開始までには現場付近で待機できる状態を作っておくことがベターだったと言えます。

咄嗟の思い付きの行動じゃないんだから、もう少し考えてプランを作ったほうが良かったのではないでしょうか。

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小さい上げ足を3つだけ取ってみる。

①スナイパーが少ない。

作中、レオはスナイパーを警戒する素振りを一度だけ見せていますが、結局スナイパーが脅威をもたらすシチュエーションはありませんでした。

危険な思想を持ったやつらなら、ビルというビルにスナイパーとして待ち構えていてもおかしくないと思うんですが・・・。

 

②結局全力疾走してしまう。

確かターニャ宅へ着く直前だったと思います。

あれだけ壁を這うように慎重に行動していたのに、ゴールが近いからか5人で道の真ん中を全力疾走。

「う、撃たれるっ」と心配してしまったのは僕だけでしょうか。

 

③鍵のかかっていないドアに・・・

5人がターニャ宅から逃げた後、政府の武装集団がターニャ宅へ突入するシーン。

ターニャ宅に4人を置いて、外の様子をレオが確認に。なかなか帰ってこないレオを4人が心配するも、ほどなくしてレオが出て行ったドアから戻ってくる。そしてそのドアから脱出。

まずレオが普通に帰って来た段階でそのドアはオートロックではありません。そして5人が現場を後にする際にもドアに鍵をかけるようなシーンはありませんでした。

なのに、突入する部隊はそのドアの鍵を円盤型のチェーンソーみたいなやつで破壊して突入。ドアノブをひねれば入れるのに。

さらに、効果音でしか判断できませんでしたがドアを蹴破るような「バンッ」という音もありました。前のシーンで明らかにされていますが、あのドアは外開きのドアなので鍵を壊したとしても内側に蹴破る事は困難です。

突入の手順に詳しいわけではありませんが、一般的な観点として「?」となるような演出はいかがなものかと。

 

こういうのって、本当に誰か一人でも突っ込まなかったんだろうかと思ってしまいます。細かいのはまだありますが・・・。

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まとめ2

前作を一切知らずに鑑賞した今作品。

だからこそ前情報抜きの純粋なレビューを書けることに一抹の嬉しさがありました。

前作の知識があることが前提なのか分かりませんが、今作品だけを考えると相当物足りません。

パージ法そのものは斬新で面白いのに、それを利用する奴らの意外性が全くありませんでした。

ただ、富豪がお金を出して殺戮を楽しむビジネスはとても良かったです。

個人的にはそういったパージ法があるからこそ生まれてくるオリジナルのビジネスや思想が、もっとふんだんに盛り込まれていれば面白さが増したと感じます。

 

一口おまけ評価

団体行動できない男は嫌われる。

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